最期を美しく保つ「エンバーミング」とは?実際に行ってわかったメリットと、不要だった事例から考える適用の判断基準

父が亡くなったとき、葬儀社の方から「エンバーミング処置」という提案を受けました。

はじめて聞く言葉に戸惑いましたが、真夏の暑い時期だったため、お願いすることにしました。

この記事では、私自身が実際に経験したことを交えながら、エンバーミングの概要・メリット・費用・流れをわかりやすくまとめます。

さらに、「処置をしなくても問題なかったケース」についても紹介し、どんな場合に必要か/不要かの判断材料としていただければと思います。

エンバーミングとは何か?

一言でいうと…

遺体を衛生的かつ美しい状態で一時的に保存する処置のことです。

専門の技術者(エンバーマー)が、腐敗防止と外見の整形を行い、安らかな表情のまま安置できるように整える技術です。

主な効果と目的

  • 腐敗の進行を大幅に抑える
  • 感染症リスクを減らす(防疫処置)
  • 顔色や表情を整えて「生前に近い姿」に
  • 火葬までの日数が空く場合に対応

米国では標準的な処置であり、**National Funeral Directors Association(NFDA)**によると、全葬儀の約半数でエンバーミングが行われているといいます(NFDA, 2022)。

エンバーミングを依頼した経緯

最期を美しく保つ「エンバーミング」とは?実際に行ってわかったメリットと、不要だった事例から考える適用の判断基準

父が亡くなったのは真夏。
火葬場の空きがなく、5日後まで待たなければなりませんでした。

葬儀会社からは「このままではご遺体が傷む恐れがあります。エンバーミングをおすすめします」と説明がありました。

私が依頼した理由:

  • 面会まで時間がかかる家族がいた
  • 最期の顔を綺麗に保ちたかった
  • 腐敗臭などへの不安があった

結果的に、父はとても穏やかな表情で安置されており、
「お願いしてよかった」と心から思いました。

火葬の前に棺にお花を並べる時、家族は父の顔に触れて最期のお別れをすることができました。

エンバーミングの流れと所要時間

  1. 専門施設へ搬送(自宅 or 安置所)
  2. 体液の排出と消毒
  3. 防腐液の注入(血管経由)
  4. 表情の調整・肌色の補正・着替え・整容処置
  5. 遺族に引き渡し

所要時間は3〜6時間程度
処置後は冷却不要で、室温でも最大7日程度安置できます。

費用の目安と内容

  • 平均:10〜20万円
  • 処置・化粧・衣装などを含むパッケージが一般的
  • 葬儀社によっては、事前説明が簡略な場合もあるので要確認

日本遺体衛生保全協会(IFSA)認定の施設・技術者による施術であれば、衛生管理も信頼できます。

エンバーミングが「必要」とされるケース

  • 火葬日まで3日以上空く
  • 夏季や高温環境で安置する
  • 面会者が複数日後に集まる
  • 自宅での安置を希望している
  • 感染症予防や臭気・体液の不安がある

では「不要だった」ケースとは?

私の知人は、冬に家族を亡くした際にエンバーミングを勧められましたが、結局行いませんでした。
理由は以下の通りです。

実例:エンバーミングをせずに済んだケース

  • 気温が低く、冷却設備の効果が高かった(1月)
  • 火葬まで2日で済んだ
  • 家族のみの密葬で面会は不要だった
  • ご遺体の損傷や変色が見られなかった

このケースでは、「処置費用が無駄になるかもしれない」と判断され、結果的にも問題は起きなかったそうです。

Q&A:よくある疑問に答えます

Q. エンバーミングは火葬に影響しますか?
→ いいえ。通常の火葬が可能です。

Q. 処置の跡などは残りますか?
→ ほとんど残りません。顔や身体に傷がつくことはなく、むしろ自然な表情になります。

Q. 衛生面は大丈夫?
→ 防腐だけでなく感染予防処置も施されるため、安置時のリスクが減ります。

エンバーミングを検討するか迷ったら…

大切なのは、「その人らしい最期」をどう迎えるかというご家族の気持ちです。

以下のようなポイントで検討するとよいでしょう。

検討ポイントまとめ

  • 火葬までの日数
  • 気温と安置環境
  • 面会の有無
  • 遺族の精神的な安心感
  • 葬儀社の対応力・説明の丁寧さ

結論:最期の姿をどう残したいか、その想いで選んでいい

エンバーミングは決して義務でも常識でもありません。
でも、「見送りの時間を丁寧に過ごしたい」と思う人にとっては、とても意義のある選択肢です。

私は父の安らかな顔を見て、「お願いして本当によかった」と思いました。
同時に、知人のように「自然に見送れた」と満足するご家族もいます。

だからこそ、この情報を知っているだけで、いつかの心の備えになると信じています。

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