前はあんなに好きだった色が、
気づけば「あまり選ばなくなった」ことはありませんか?
逆に、
これまで意識してこなかった色に急に惹かれたり、
ふと買った服や小物の色が、いつもと違って驚いたことはないでしょうか。
色の好みは、一生固定ではなく、
人生のフェーズや心の変化にあわせて、少しずつ変わっていくことが
心理学や色彩の研究からも示されています。
An ecological valence theory of human color preference
この記事では、
- 転機・変化・再スタートのときに、なぜ色の好みが変わるのか
- 人生フェーズ別に「選ばれやすい色」の心理的な意味
- これからの自分を支えてくれる色との付き合い方
を、やさしく整理していきます。
なぜ「人生の転機」で色の好みが変わるのか
色は、ただ「目に入る情報」ではなく、
経験・感情・記憶と結びついたシグナルでもあります。
色彩心理や生態学的な理論では、
人は、自分にとってポジティブな経験と結びついた色を好み、
ネガティブな経験と結びついた色を避ける傾向があると考えられています。PNAS+1
つまり、
- うれしかった時期に身近にあった色
- 安心感や支えを感じた時期に、よく目にしていた色
は、のちの人生でも「なんとなく好き」「落ち着く」と感じやすいのです。
一方で、
- つらかった職場の制服の色
- 我慢していた時期によく身につけていた色
が、ある時期から急に「もう選びたくない」と感じられることもあります。
人生のフェーズが変わると、「色に込める意味」も更新されていく。
その結果として、色の好みが変わっていく——
そんなふうに捉えることができます。
Colour psychology: What does your favourite colour say about you?
人生フェーズ別に見える「選ぶ色」の変化

ここでは、あくまで一例として、
いくつかのフェーズと色の関係性を紹介します。
もちろん、これは「べき論」ではなく、
あなた自身の感覚を振り返るためのヒントとして読んでみてください。
1. 学生〜20代前半|世界が広がる時期と明るい色
- 特徴:
新しい出会い、進学・就職、価値観の揺れ動き - 選ばれやすい色のイメージ:
明るいブルー、ホワイト、パステルカラー、少し派手な差し色
この時期は、
「これからどうなるか」がまだ見えない不安と、
「これから何でもできるかもしれない」という期待が混ざりあう時期。
- ブルー:新しい環境での信頼感やクリーンな印象
- パステル:軽やかさ・かわいらしさ・柔らかさ
- ホワイト:リセット、まっさらな自分でいたい感覚
などが、無意識のうちに選ばれやすいことがあります。
2. 20代後半〜30代|現実と理想のバランス調整と、落ち着いた色
- 特徴:
仕事や生活基盤が具体化し、「続けるか/変えるか」を考え始める時期 - 選ばれやすい色のイメージ:
ネイビー、グレー、ベージュ、カーキ、くすみカラー
「信頼されたい」「ちゃんとしていたい」
という気持ちが強まりやすく、
派手さよりも落ち着きや安定感を選ぶ傾向が出てきます。
- ネイビー:まじめさ・信頼・冷静
- ベージュ・グレー:協調性、なじみやすさ
- くすみカラー:大人っぽさ、自分らしさ
「とがっていた色選び」から、
「長く付き合える色」へと、
少しずつシフトしていくケースも多いタイミングです。
3. 転職・離職・環境を大きく変えるとき|新しい色に惹かれる
人生のなかで大きな転機を迎えるとき、
急にまったく違う色が気になり始めることがあります。
- これまで選ばなかった「赤」や「オレンジ」に惹かれる
→ 行動力・自己主張・エネルギーを取り戻したいサイン - 「ターコイズ」や「青緑」が気になる
→ 古い環境から離れ、自分の本音や直感とつながりたい気持ち - 「白」や「淡いグレー」に惹かれる
→ 一度リセットして、新しく始めたい感覚
これは、
「今までの自分」から「これからの自分」に服や空間の色を合わせ直すプロセス
とも言えます。
This Is Why You’re Suddenly Obsessed With a Certain Color — And What It’s Trying to Tell You
色の好みの変化は、
「自分の内側の変化が、そっと外側に現れたもの」と捉えることもできます。
4. 喪失・別れ・大きなストレスのあと|無彩色や暗い色に惹かれるとき
大きな喪失や別れ、
長く続いたストレスのあとには、
- 真っ黒・真っ白
- 深いグレー
- 静かなネイビー
といった、色味を強く主張しない色に惹かれる時期が
訪れることがあります。
これは、
- 刺激を減らしたい
- これ以上感情を揺さぶられたくない
- いったん「何もしない」「考えない」余白がほしい
という、心の防御反応・回復のための動きでもあります。
「暗い色を選ぶ自分はダメ」ではなく、
「今はこういう時期なんだな」と受け止めてあげる視点を
持っておきたいフェーズです。
5. 再スタート・再構築のとき|ニュートラル+差し色の組み合わせ
転機や喪失を経て、
少しずつ「これからの自分の生活」を
整え直していくタイミングがあります。
この時期には、
- ベージュ・グレー・ホワイトなどのニュートラルカラーをベースに
- 少しだけ「未来の自分」を象徴する色を差し色で使う
といった色づかいが、心の動きと噛み合いやすくなります。
例)
- ベース:グレーやベージュ
差し色:ターコイズ(自由・浄化)、ラベンダー(回復)、ピンク(自己受容) - ベース:ネイビー
差し色:マスタード(挑戦)、コーラル(あたたかく人とつながる感覚)
全部を派手に変えなくていい。
でも、「どこか一箇所だけ、未来の自分に色を合わせてみる」。
その小さな一歩が、再スタートの支えになってくれます。
「今の自分のフェーズ」と「惹かれている色」を見つめるミニワーク
ワーク① 最近選んだ色を3つ書き出す
- 服
- 小物(スマホケース、手帳、カバンなど)
- 部屋の中で新しく取り入れたもの
から、「最近増えた色」を3つ書き出してみましょう。
例:
・グレーの服が増えた
・ターコイズのマグカップを買った
・ピンクのルームウェアが気になる
ワーク② その色を選んだときの自分の状態を思い出す
- どんなことに悩んでいた?
- どんな気持ちでその色を手に取った?
- その色を身につけたとき、少しでも「ホッとする」感じはあった?
ここに、
「今の自分にとっての色の意味」が
隠れていることが多いです。
ワーク③ 「これからの自分」を支える色を一つ決める
- 行動力を取り戻したい → 赤・オレンジを小物から
- 自分軸を整えたい → ターコイズ・深いグリーン
- まずは回復を優先したい → ラベンダー・淡いブルー・ベージュ
など、
「こうありたい」という未来の自分に合わせて
1色だけ、象徴になる色を決めてみてください。
その色のノートを使う、
その色のマグカップを使う、
その色のクッションを置く——。
それだけでも、「これからの自分」を意識する
小さなスイッチになってくれます。
色の変化は、「変わってしまった自分」へのダメ出しではなくメッセージ
色の好みが変わることは、
決して「一貫性がない」とか「ぶれている」という話ではありません。
- 経験が深まったこと
- 大切なものが変わったこと
- 守りたいものが増えたこと
そうした変化が、
静かに「色」という形で表に出てきただけかもしれません。
もし、以前とは違う色に惹かれている自分に気づいたら、
「今の自分は、どんなことを求めているんだろう?」と
優しく問いかけてみてください。
そこには、
これから先の人生フェーズを
少し生きやすくするヒントが隠れているはずです。
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【著者】鈴木 一世(Issei Suzuki)
現役大学教員/英語教育専門家/色彩心理リサーチャー
英語教育と心理学を専門としながら、
色が人の感情と行動に与える影響を研究。
「心が少し軽くなる知識」を届けることを大切に執筆しています。
参考・情報源
- Elliot, A. J. (2015). Color and psychological functioning: a review of theoretical and empirical work. Frontiers in Psychology.PMC
- Palmer, S. E., & Schloss, K. B. (2010). An ecological valence theory of human color preference. PNAS.PNAS
- Dittmar, M. (2001). Changing colour preferences with ageing. Gerontology.PubMed
- Jonauskaite, D. et al. (2025). Do we feel colours? A systematic review of 128 years of psychological research linking colours and emotions.PubMed
- Jonauskaite, D. et al. (2024). Universal patterns in colour–emotion associations. British Journal of Psychology.Brain and Cognitive Science



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